幼児教育・保育の無償化についての国の広告効果と認識と子ども・子育て支援新制度のウソ

現在、保育園と幼稚園に通わせることについては無償で行えるという一般認識があるものと思います。結論から言うとこれはウソです。メディアでは一般的に無償化されたという認識で報道されていますが、実態や政府が発表した内容や行政が行っている仕組みについては実質的に有料の部分がほとんど残っているという事実があります。

もう制度が制定されて6年も過ぎてしまえば、施行後はみんな忘れます。0歳だった子供も6歳になり、その親も、幼稚園は関係なくなっているので、当時の制度などどうでもよいことでしょう。ただ、子供は1人産めばよいものではないし、何人産めばよいと決まっているものでもありませんので、負担はこれからもかかるご家庭も多いものと思います。

子供の出産が推奨されている現実が制度と乖離しているものであるという認識は、子供を幼稚園や保育園にいざ預けようという時に発生するわけです。ほとんどの親は働き盛り、忙しいのもあり、そういうものという認識で制度を受け入れるのではないでしょうか。

制度

幼児教育・保育の無償化についての概要については、ウェブページで内閣府が公表しています

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/about/index.html

こちらの制度を見てもらえば無償でも何でもないことがよく分かると思います。抽出すると、

  • 3~5歳児クラス:子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園は、月額2.57万円まで
  • 0~2歳児クラス:住民税非課税世帯は無料(保育所等を利用する最年長の子供を第1子とカウントし、第2子は半額、第3子以降は無料。ただし、年収360万円未満相当世帯は、第1子の年齢は不問)
  • 3~5歳児クラス:最大月額1.13万円まで無償(幼稚園の預かり保育を利用する子供たち)
  • 3~5歳児クラス:月額3.7万円まで無償(認可外保育施設等)
  • 0~2歳児クラス:住民税非課税世帯が対象。月額4.2万円まで無償(認可外保育施設等)
  • 満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間(就学前の障害児の発達支援を利用する子供たち)

条件に該当する家庭は少数(語弊を招く言い方ですが裕福な家庭)です。

有償部分
  • 幼稚園であれば9時から13時半以外
  • 3歳(年少)まで
  • 認可外保育園

認定保育園に預ける以外のほぼすべての家庭は有償か支援に上限(預かり保育月上限11300円など)があります。また無償の家庭もほとんどが親の時間を犠牲にする必要があります。

価値観

まず前提として、子供には幸せに育ってほしいという親が100%に近いと思います。昔のようにたくさん子供を産んで働いてもらう、と考えたり、子供の予備と考える価値はあっても、子供が苦労したとしても幸せに育ってほしいと思う親がほとんどかと思います。
YouTuberでも保育士でもあるてい先生という方がいらっしゃいます。こちらも子育てにおいてはいつも動画や書籍を大変参考にさせていただいておりますが、私の子育ての価値観にとても近いです。

保育園が金銭的に得だから、という教育の観点で子供の通う幼稚園や保育園を選ぶことはしていません。あくまで、園の方針などから園を選びました。子供にはその歳相応の時にしか吸収できないことや体験をしてほしいと思っています。(実際3歳まではキャリアや時間を犠牲にして一時保育を除き、両親のもとで育てました。)

園に入れるための実態

定時で働く人、共働きでフルタイムで働く人がほとんどかと思います。
例えばうちの場合は共働き、幼稚園に預けていました。送り迎えの往復で40分かかりました。
ということは実質的に子供を預けて無償内で自由にできる時間は3時間半です。
幼稚園によりますが、幼稚園は保育園に比べ、父母会等に出席して感じるのは女性が専業で主婦をしている家庭がほとんどです。
つまり無償化内で収めようとすると3時間半が働けたり、専業主婦や主夫の場合に自由にできる時間(家事などを含めても)です。

保育園にも一時通わせたことがありますが、子供へのサポートや教育が幼稚園と雲泥の差です。これは幼稚園と保育園の差のことを言っているのではなく、園によって違う、ということです。自分がそれだけ子供に通わせたい園へ行こうとすれば遠くなることや場合によっては引っ越しも検討に入ります。
また、幼稚園が預かり保育を行っていない場合は、迎えに行くことが余儀なくされ、夫婦どちらかか、祖父母などのサポートが必要になります。
となると、祖父母のいない家庭(うちが実際そうでした)や夫婦どちらかが妥協しなければ幼稚園には入れられないのです。

国はたくさん子供を産んでください、支援します、と言っています。夫婦どちらかが迎えに行かなければいけません。どちらかの職場で時短が求められます。サラリーマンであれば職場によっては勤務評価に影響します。
また現代までにおいては女性がそれを強いられていました。政府が謳っているジェンダー平やワーフライフバランスの概念等の両立がとても難しいことがわかります。政府は事業者に対してルールで勤務評価に影響しないことを求めていても実質的に影響します。
自営業者については、収入に影響します。(または支出に影響)

園選び

園側から見ると、保育士などの資格が必要であったり、何人に対して何人配置しないといけないなどの国の法律があります、またそれに伴い賃金にも規定があります。なので民間のサービスのような、何かに特化したりしようとすることができません。(園によっては園外で別のプログラムを組んでいることろもあります)また資金調達が困難になるので、基本的にどの園もできることが限られています。

そんな中でも園選びは園庭開放などで実際に見て、家庭の方針に近い園に決めるのが一般的かと思いますが、そこで実際に予算や時間が限られている家庭だと子供の大事な時期の遊びや教育も限られてしまいます。(庭が園になかったり、散歩の場所がビルの合間だったり、遊べる場所がビルの中などはよくあります)

子供を幼稚園に預かってもらう場合

実際預かり保育には1時間でおおよそ300ー1000円ほどかかるのが一般的ですので、幼稚園や認定外でフルタイム勤務で預けると月3万円以上はかかることを覚悟しておく必要があります。(もちろん子供の風邪などで有給はなくなります)

年少未満に幼稚園や保育園に預かってもらう場合

年少までに幼稚園に子供を入れた場合も同様に園によりますが日中の負担が出ない分だけさらにかかります。うちは一時保育を利用し、月5ー6万円前後でした。またはキャリアは捨てる必要があります。

その他の影響

フルタイムの共働きの場合は朝6時に起きなければ家事もできませんし、お昼ご飯も作れません。

また、遅くともどちらかが18時には迎えに行くことをしなければ子供の睡眠時間に影響があると考えられます。

結論

子育てと仕事の両立は難しいですが、無償だろうと有償だろうと変わりません。ただ、子育ての行政による資金援助が一部で、実際にかかっているし、子供の教育水準を下げずに親の負担を減らそうという本気が全く見えないので、政府の広告でしかないのが実態と認識しています。

無償にした政府の広告効果(全国民への印象)は高いが、国は子供が多くなる社会を望んでいない(どちらかと言えば高齢者を優遇する社会を望んでいる)

*厚生労働省、統計局やメガバンクの統計を確認しています、ソースはご自身でお調べください

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